古着通販サイト「モトリー」が実現する持続可能なファッション循環〜海外への古着輸出〜
株式会社kurokawaが運営する古着通販サイト「モトリー」では、約70年間培ってきたリユース事業のノウハウを活かし、多くの衣料品を社会のために役立てる取り組みを行っています。今回はオンライン古着回収「もっとリユースキット」で回収された古着がどのようにリユースされているのか、モトリー責任者の樋口伸治さんにお話を伺いました。
オンライン古着回収「もっとリユースキット」で回収した古着はどのような流れで海外輸出されるのでしょうか?
樋口:オンライン古着回収『もっとリユースキット』で回収した服や、リユースキットでお客様から送っていただいた服は、まず弊社の倉庫に届き、リユースできるものとできないものに仕分けされます。具体的には、国内で使えるもの、古着通販サイト「モトリー」で販売できるもの、そして海外リユースに適したものという仕分けになります。
倉庫で仕分け担当者が選別をして、そのうちの海外に輸出するものに関しては、本社工場でパッキングされてコンテナに入れて海外に運ぶという流れです。
輸出の際は、地面に開けられた穴に、どんどん服を入れていき、上から圧縮させて、200キロほどの”ベール”と呼ばれる一つの塊にします。
圧縮ベール化された古着は、どのように現地で取り扱われますか?
樋口:2パターンの流通経路があります。
ひとつは古着を取り扱う海外の企業さんにベールのまま販売します。買い取った企業さんが、洗ったり、しわを伸ばしたりして、韓国、マレーシア、カンボジアなどで『日本の古着』として販売するのです。
もうひとつのパターンは、弊社のカンボジアの店舗で販売されます。届いた服は現地で、店舗に並べるものと、他国に輸出するものに分けられ、必要な方へ届けられているのです。
自社工場で梱包・輸出する強みは何ですか?
樋口:古着通販サイト「モトリー」 の運営会社株式会社kurokawaでは、お客様から送っていただいた服を、すぐにパッキングし、船便も自社で手配をするため、服が滞留せず、スピーディーに流通できることです。倉庫内に置いておくと、時間の経過とともに、服が傷んで商品の質がどんどん下がってしまいます。
商社さんに販売すると、輸出されるまでの時間が長くかかってしまうのが難点です。またたくさんの会社が間に入れることで、時間もコストもかかってしまいます。結果的に古着の販売価格も上げなければなりません。以前は商社さんを挟んで海外に輸出していましたが、自社で工場を持ち、一貫して自社で輸出を行う方が、効率が上がり、生産性も向上するため、このような仕組みを整えています。
オンライン古着回収「もっとリユースキット」で回収された古着が、現地の暮らしにどう貢献していると感じますか?
樋口:私たちは、ブランド品を専門に扱うわけではないので、日本でカジュアルに着られている古着を、海外でも普段着として販売しています。普段着の価格で買えるというのが一番喜ばれていますね。
実は、日本の古着が東南アジアで人気のある理由はいくつかあるんです。まず、日本人は昔からモノを丁寧に扱う習慣があり、傷みの少ない状態で流通するため「中古でも質が高い」と評価されています。また「ユーズド・ジャパン」という言葉があるほど、それ自体がブランド価値になっているんですよ。
また、日本で"流行遅れ"とされたデザインでも、現地では『おしゃれ』『個性的』として受け入れられることが多くあるのです。価格も手頃で、バリエーションも豊かなので、幅広い層に日本の古着を楽しんでいただいております。
具体的に人気が高い国としては、カンボジアがあげられ、弊社の店舗展開も進んでいます。マレーシアでは都市部の若者に古着ファッションがブームになっており、フィリピン・タイではリユース市場が大きく、業者単位での輸入も盛んです。インドネシアではファッション感度の高い層に『日本の古着』がステータスになることもあるそうです。
流通する服の割合は、レディース対メンズ・キッズが7対3くらいで、レディースのものが圧倒的に多いですね。
日本らしい文化に触れることも嬉しいようで、特にアニメ系のキャラクターグッズやアニメ系のキャラクターがプリントされた服は人気があります。
持続可能なファッション(サステナブルファッション)のために、日本国内の消費者や企業に求められていることは何だと思いますか?
近年、社会全体の意識はだいぶ変わったと思います。新品の服の売れ残りが大きな社会問題となってきましたが、ユニクロやZARAなど一部の大手ブランドが、AIやビッグデータを活用し、「必要な量だけ作る」体制にシフトし始めました。H&Mやパタゴニアなど、一部ブランドは「廃棄しない」ポリシーを掲げ、売れ残り品はアウトレット販売や寄付、リサイクルなどで循環させる仕組みを導入しているようです。また、GU、無印良品、ZARAなどが、自社店舗で古着回収を行っていますね。
消費者一人一人がゴミを減らす工夫をすることも大事だと思います。新品を楽しむという選択肢はもちろんOKです。でも、最後、手放す際に、『捨てる』という選択肢ではなく、リユースやリサイクルを選んでほしいと思います。中古のものを活かす仕事をしている人もたくさんいますし、それを必要としているお客様も多くいらっしゃいます。リサイクルショップでは、難ありの商品が集まってくるものだと認識しておりますので、程度の悪い服でも全然気にせず、リユースショップやリサイクルショップをどんどん利用してほしいと思います。人に譲ったり、リサイクルショップに売りに行ったりするのは恥ずかしいと感じるものでも、オンライン古着回収「もっとリユースキット」で送っていただければ、顔も見えません。ほとんどの服がリユース・リサイクル可能ですので、ぜひご利用ください。
古着の循環でつながる日本と世界
モトリーの「もっとリユースキット」から始まる古着の旅は、日本の洋服たちに新たな命を吹き込み、持続可能なファッション循環を実現しています。日本では「もう着られないかな」と思った服も、海外では「価値ある製品」として喜ばれているのですから、「捨てる」という選択肢を見直す時です。「もっとリユースキット」を利用していただくことで、日本の古着が、東南アジアでの新しい暮らしの中で輝きを放ち、地球にもやさしい選択となります。
これからも古着通販回収サイト「モトリー」は、衣類の可能性を最大限に引き出し、国内外問わず、多くの人々の暮らしを豊かにする循環の輪を広げていきます。あなたの「クローゼットの奥に眠っている服」も、誰かの「今日のお気に入り」になるかもしれません。ファッションの未来を一緒に考えるはじめの一歩、「もっとリユースキット」で古着に新しい物語を紡いでみませんか?